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ASIAN KUNG-FU GENERATION「ワールド ワールド ワールド」(2008年)

 「アルバムの感想・レビュー」カテゴリの記事、五回目はASIAN KUNG-FU GENERATIONの4thフルアルバム「ワールド ワールド ワールド」の感想です。こういう記事をまともに始めてまだ二週間くらいしか経ってませんが、いざ書き始めてみると、感想を書きたいアルバムがたくさんあって困る。
 アルバムとしてでなく、曲として感想を書きたいものもあるので、いつか曲紹介のような記事も書くかもしれません。
 それはさておき、今回のアルバムジャケットはこちら。
 
ワールドワールドワールド

 曲の感想は続きより。今回はだいぶ長い感想文になっています。


 ①ワールド ワールド ワールド
 次の実質的なオープニング、「アフターダーク」に向けて、コーラスを入れながら徐々にボルテージを上げていくような曲。

 ②アフターダーク


 ドラム、リズムギター、リードギターと順に音を増やしていき、そこで溜めたものを一気に爆発させるイントロがかっこいい10thシングル。緊張感のある曲だ。Bメロのリズムが気持ち良い。2番Bメロ後の曲の展開もアジカンらしさを感じる。
 《夢なら覚めた だけど僕らは何もしていない 進め》という歌詞から、バンドとしての覚悟、力強さが伝わってくる。

 ③旅立つ君へ
 「アフターダーク」に続き疾走感のある曲。サビで、歌のメロディの裏で鳴っているギターがいい味を出している。アジカンのリードギターは決して派手ではないが、曲をしっかり支えながら見せ場もきちんとこなす、仕事人のような存在だろう。
 Cメロの《東の空が光る 闇は抱いたままだ》という歌詞に合わせて、それまで激しめだった曲も夜明けを思わせるような静けさを帯び始め、そのまま次の曲「ネオテニー」へと繋がっていく。

 ④ネオテニー
  「旅立つ君へ」からそのまま始まるこの曲は少しテンポが落ち、前の二曲に比べると少し落ち着いた印象がある。しかし時折鳴る、沸き立つ感情を表現したような、どこか不穏な感じを抱かせるギターのサウンドと、《本当に必要?》と問いかける歌詞が私の胸に落ち着きを与えてはくれない。我々はどんなものに対して《それは本当に必要?》と感じるだろうか。
 作詞担当のゴッチの問題意識が垣間見える一曲。

 ⑤トラベログ
 ネット上を、地図にない風景を、今や私たちはどちらも旅することができる。だからこそ目に映るのは《余計な字面》だったり《世界の隙間》だったりする。そんな時代で《手触りのない そんな言葉の飽和》に埋もれるか、《まだ見たこともないような景色》に出会うか、《嗅覚で そう 未来を知る》《聴覚で そう 現在に出会うよ》という歌詞がゴッチの答えだろう。世界を知るのに、「見る」だけではきっと足りない。
 こんなことをネット上に書く皮肉たるや。
 そんな皮肉を誤魔化すついでにもう一つ歌詞について述べると、《路面 湿った雨の匂い》の後に《嗅覚で そう 未来を知る》と書いてあることで、より実在する世界に身を置いてある様子が思い浮かべられないだろうか。
  言葉とメロディがうまく融合して、音として聴いてるだけでも気持ちのいい曲になっている。間奏~Cメロのリズムがとても好き。

 ⑥No.9
 イントロとアウトロにあるハミングと、それをなぞるメロディアスなギターが特に耳に残る四つ打ちのナンバー。
 《ミスター・パトリオット》って誰だと思って調べてみたところ、「パトリオット」とは「愛国主義者」などの意味だった。その後の《もう何も壊さないで》《同じことで もう誰も泣かないでくれ》という歌詞もあることから、この曲は反戦歌だろう。
 今まで、フェスでこの曲をやったと知った時、「良い曲だけどなんで?」と思っていたが、歌詞の意味を考えてみてとても納得した。

 ⑦ナイトダイビング
 曲の途中でゴッチのボーカルと喜多さんのコーラスが入れ替わるなど、ボーカルとコーラスの絡み具合が絶妙な曲。メロディのどこを取ってもキャッチーであり、特にAメロのメロディとCメロのメロディが重なる最後の展開は必聴ものだ。
 
 ⑧ライカ
 アルバムの中でも特に明るい雰囲気の曲だが、その歌詞はソ連の人工衛星に乗せられて宇宙へ行った犬「ライカ」のことを歌ったもの。それを意識して聴いてみると、曲の始まり方も宇宙へ向けて次第に加速していくロケットを表現しているように思える。

 ⑨惑星
 《夜空に強く輝くたいのなら 高い志が君を照らし出す どんなに辛く折れそうな夜でも 光り射す朝までは》という、聴く人の背中を支えるような歌詞に勇気づけられる一曲。
 普通のバンドなら間奏をギターソロにしそうなところを、セッション風にしているところにASIAN KUNG-FU GENERATIONというバンドのセンスを感じる。

 ⑩転がる岩、君に朝が降る


 ギターの綺麗な音色で始まる、このアルバムの中ではミドルテンポの曲。11thシングル。
 《出来れば世界を僕は塗り変えたい》から始まる歌詞のそこかしこに、為す術のないやるせなさを感じるが、ギターのサウンドやメロディのおかげか、《凍てつく世界を転がるように走り出した》という最後が、微かに見える希望に向かって進んでいるように思える。様々な思いを抱えて、心が絡まって、それでも生きていこうという決意を感じる名曲だ。

 ⑪ワールド ワールド
 アウトロが「或る街の群青」と繋がっている、1分少々の短い静かな曲。
 《音が選ぶ配列から 言葉たちが踊り出す 意味無いようで 確かにある》
 言葉のリズムや押韻を意識した歌詞の多いアジカンの曲だが、そんな歌詞にも作詞者の意志は存在する。

 ⑫或る街の群青


 9thシングル。
 街の雑踏の中で耳をすませば、どこか遠くから聴こえてくる鐘のようなギターの音で静かに曲が始まり、ゴッチがワンコーラス歌い切ると同時に、堰を切ったように溢れだす音で曲の世界へ一気に連れて行かれるような錯覚に陥る。そのまま終わりまで、まるで息継ぎなしで走り抜けるような、重厚さと疾走感を兼ね備えた、「転がる岩、君に朝が降る」とはまた違うタイプの名曲である。
 素敵な歌詞はたくさんあるが、私が特に気に入ってるのは《巡り会い触れる君のすべてが僕の愛の魔法》というフレーズだ。ただ歌詞がいいというだけでなく、一音でも音程が違えば言葉が一つ残らずバラバラになってしまいそうな、危ういバランスでメロディに乗っている感じがして、この部分を聴く度にゾクッとするのだ。

 ⑬新しい世界
 アルバムの最後の最後にて、アジカンの真骨頂とも言える、ゴッチのシャウトが響き渡るエイトビート。《大声で叫べばロックンロールなんだろう? そんなクソみたいな話ならもう沢山だよ》と歌いながら、そのくせ叫び続ける不器用さ。こんなにかっこいいロックバンド、他にはなかなかいない。
 様々な問いを聴き手に投げかけており、歌詞について考え始めると楽しいだけではないこのアルバムだが、《さぁ飛び出そう 胸躍るような新しい世界》という最後の一節でここまでの全てが報われたような気持ちになる。
 「転がる岩、君に朝が降る」で歌われた、変えることができそうになかった世界をもひっくり返してしまえそうなほど、「新しい世界」にはエネルギーが満ち溢れている。本当に熱い曲だ。


 今作はバラードと言えるバラードがなく、1分半ほどの短い曲を2曲交えながら45分を一気に駆け抜けていくようなアルバムだ。最後の曲が「新しい世界」というのも大変良い。こういうアルバムを聴いてテンションが上がる私は、やはり基本的にはスローな曲よりアップテンポの曲の方が好きなんだなと思う。
 「旅立つ君へ」から「トラベログ」までの3曲の流れが、特にギターのサウンドが似通ってるように感じて単調な気もするが、それぞれの曲のクオリティの高さゆえか、あまり気にならなかった。
 この3曲だけじゃなく、全編通してよく出来た楽曲群である。特に終盤の曲が素晴らしい。アルバムを最初から最後まで聴き終えたとき、世界の色が塗り替わったような気分になる、私にとっての名盤だ。

 歌詞についてだが、社会的なことを歌うことを私は否定しようとは思わない。作詞するなかで、個人の問題意識などは少なからず出てくる言葉に現れてくるだろうし、自分の内面を歌うのはよいのに、世界に目を向けて感じたことを歌うのは好ましくないというのは私にはあまり納得できない。
 どんな歌詞について書く場合も、そこでの言葉の選び方が秀逸なのがゴッチの作詞家としての素晴らしい点だろう。日本語の言葉を使いながら、メロディに乗せるとそれらが日本語にないリズムで踊り出すのである。「ワールド ワールド」の感想で私が取り上げた歌詞をここでまた引用したいくらいだ。

 最後に、演奏について。
 技術の高さを感じさせるタイトなドラム、派手な動きこそないが安定して構えたベース、曲に様々な表情を与えるギター。それら全てが、歌を届けるためにそこにある。しかし、だからといってこのバンドがゴッチのワンマンバンド、という風にはならない。それはアジカンの非常に良いバランス感覚があるからこそで、それぞれの演奏が生み出すグルーヴからもそのバランス感覚は感じ取れる。このバンドはギターリフや歌のメロディ一つだけで曲を引っ張るより、バンド全体で曲を作り上げている印象が非常に強い。そして歌だ。これ以上ないくらい、演奏とマッチしている。それがASIAN KUNG-FU GENERATIONだ。
 そもそもゴッチの歌は、例えばアコギ一本の弾き語りみたいなものより、こういう「かっこいい演奏」の中で歌った方が説得力が生まれそうに思うのは私だけだろうか。どうだろう。

 私が聴いたことのあるASIAN KUNG-FU GENERATIONのアルバムは本当にどれも良いものばかりだが、私の中で強く印象に残っているアルバムとしてはこれが頭一つ抜けている。
 なんだか、今回はいつにも増して「好き」が炸裂した感想になった気がする。

 おわり。
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特に音楽が好きです。好きなことやものについてばっかり考えてます。

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